偶然に身を投げろ〜東浩紀 著【弱いつながり 検索ワードを探す旅】〜

東浩紀 氏の著書【弱いつながり 検索ワードを探す旅】の読書感想文を書いてみた。
東浩紀 氏の切り口は本当に面白い。なにしろ本書のタイトルにある”検索ワード”という言葉に反応せずにはいられない。実はこの本の内容はあまり触れたくない。
なぜなら初見で読み進めた方がとてつもなく面白いのだ。それでも本書について書くのはそれだけこの一冊を広めたい一心だからだ。
以下。書籍説明(Amazon商品説明より引用)
グーグルが予測できない言葉を手に入れよ!統制されたネット時代に「かけがえのない生き方」は可能か?著者初の挑発的人生論
人間関係を大切にするな! 友人に囚われるな!
「かけがえのない個人」など存在しない。私たちは考え方も欲望も今いる環境に規定され、
ネットの検索ワードさえもグーグルに予測されている。
それでも、たった一度の人生をかけがえないものにしたいならば、環境を意図的に変え、
グーグルに与えられた検索ワードを裏切っていくしかない。
それを可能にするのが身体の移動であり、旅であり、弱いつながりなのだ――。
あなたは「パッと頭にいくつかの検索ワードを思い浮かべてください」と言われていくつ思い浮かぶだろうか。
Google,youtube,twitterなど、様々なツールで調べ物やコンテンツの閲覧をする際に文字の入力をするわけだが、その際に頭の中に思い浮かぶ単語は個人の思考を簡単に予測してしまうインターネットクラウドによって調べる前からシステム側から情報提供をしてくれる。
この予測はかなり高度で、非常に素早く情報にアクセスすることができるが、裏を返せば思いつくことしか調べられないのだ。
これを打破するためにGoogle,youtubeの裏をかこうとして新しい検索ワードの入力を試みても、自分が今までの経験や、どこかで目や耳にしたワードしか思いつかないものである。
この”検索ワード”を探すためのヒントがたくさん詰まっているのだ。
むしろ新しいワードを探そうともしていなかった自分はとても面白く読み進められた。
さらに本書では「人間関係を大切にするな」という強烈なメッセージを投げかけてくる著者の意図するものはすんなり納得してしまった。
それを補足するための重要なワード。タイトルにもある”弱いつなり”とは何なのか?
例えばあなたが仕事で悩んだとき、相談するのは身近な人。それも”話のわかる”同業者、つまり”強いつながり”の人物になりがちではないだろうか?
そういった人物から想定される答えは大抵予想がつくし、人を変えても対して意見は変わらない。
それが全く関連性のない人物だとしたら、一見的外れなアドバイスになるかもしれないが、それこそ新しい思考を与えてくれると筆者は投げかける。
関連性の薄い、つまり”弱いつながり”の真骨頂がここにあるというのだ。
”弱いつながり”から得たものは、自分の中にない全く新しい言葉でありそれこそに価値がある。
当てもなくふらっと旅に出たり、他業種に首を突っ込んだりすると、知らなかった新しい言葉がたくさん出てくる。”言葉を探す旅”としていろんなところに出かければ情報に縛られないオリジナルが見出せるかもしれない”希望”の一冊だ。
自分にないものを探すには、”偶然を見つけたら飛び込めばいい”ということ。